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カウンセリングの実際 |
カウンセリングとは、援助を求めてきた人(クライアント)に専門家(カウンセラー)が『治療的意図をもった会話』を行うことをいいます。心理療法(精神療法)と同義に用いられることが多く、手順や取り扱う問題により限定された療法に分類できます。 1930年代から主に欧米で、情緒的支持を中心とした支持的精神療法や無意識に抑圧している欲動や葛藤の解決を目指す洞察的精神療法(精神分析、交流分析)、訓練や学習を基盤にした教育的精神療法(行動療法、問題解決療法)、1960年代になると人の行動は環境などの外部の力よりも自分の意志によって決定されるという考え方から認知の在り方に働きかけようとする認知療法が出現しました。これに行動療法を組み合わせて、患者の認知の歪みを検証して適切な行動パターンを再学習するという認知行動療法が近年は最も一般的になっています。日本では、これらの精神療法が生み出される以前から既に森田療法や内観療法などといった優れた治療法がおこなわれていました。 ここでは心理療法がどのようになされるかについて述べましょう。 |
支持的精神療法 |
全てのカウンセリングの基本となる技法が支持的精神療法です。
支持的精神療法の手技(オクッスフォード精神医学より) @患者との間で治療上の適切な信頼関係を築くように配慮する。 A十分な時間をかけて患者の話を聞き、注意を向け、共感を示す。 B患者の問題について心理社会的な情報を提供し、わかりやすく解説してさらなるアドバイスをする。 C患者が激しい感情をあらわにしてしまうことも恥ではなく、時にはよしとする。 D改善の望みをあきらめている患者を励まして士気を高めながら、苦しみや痛みに対して適切な対処法を説明する。 E患者の長所を見直し、能力を伸ばしていけるように手助けする。 F患者の自己解決努力を奨励する。
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認知療法 |
患者の情緒の障害は適応していない思考と行動にあるので、その認知の歪み(後述)に気づいて認知過程の修正をしていきます。 私たちがある体験をする状況下でわき起こってくる思考やイメージを自動思考といい、心の底にあるその人の人生観や人間観などの個人的な確信をスキーマと呼びます。この二つが瞬間的な判断をするときにバランスよく働いてくれて状況に適応するのですが、うまく適応しないような認知の歪みが生じるとそれが自動思考として意識され同時に行動、感情、動機の障害が現れます。認知過程の修正のために次のような手順で行います。
@ 認知の歪みを検証する。 A 代わりにより柔軟性のある認知とスキーマを形成する。 B 新しく適応した思考や行動を使いこなす習練をする。
例えば下記のように検討します。 ☆自分が最悪の事態に陥ったとき、どんな考えが無意識に浮かぶだろうか? ☆その時の無意識に対抗する考えはあるか?無意識に浮かんだ考えを反証する事実はあるか? ☆自分の特性を見直す説明方法は何か? ☆不快な状況から気持ちをそらすためにはどうするか? ☆自分の行動が気持ちを落ち込ませるような仮定(認知の歪み)に支配されているのではないか?
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認知行動療法 |
認知の歪みを検証することによって自分の思考ー感情ー行動を変化させより適切な行動パターンを再学習する治療法で、コラム法と呼ばれる記載法を使用します。
@状況:イヤな事態が起きたときの状況について。 A不快な感情:その時、どんな感情を持ったか?それはどの程度の激しさだったか? B自動思考:イヤな出来事が起きた時に心に占めていた考えやイメージはどんなものだったか?その時はどのくらい確信を持っていたか? C合理的反応:自動思考に代わるような考え方があるだろうか?あればそれはどのくらいの確信度をもつだろうか? D結果:ここまでで現在の自分がどんな気分でいるのか?それはどの程度の強さなのか? Eリハーサル:以上を検証して、問題となる状況に適応するような視野を広げた新しい考え方で行動することを段階的にリハーサルしていく。
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問題解決療法 |
ストレスの多い問題を解決するような時(例えば早急に決定することがある、新しい環境に適応しなければならない、満足できない生活からより健康な生活へ変化させる場合)に実施されます。
@自分で抱えている問題のリストを作成する。これを解決可能なまでに細分化して問題を明確にする。 A問題に対する解決法をできるだけ多く考えだす。 B解決法の長所と短所について検討する。 C最も長所の多いものを実行に移す。 D行動の結果を評価する。 E問題がすべて解決するまでこれを繰り返す。
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主な認知の歪み |
こののような考え方をすると世界や未来に適合しにくく、うつ状態になりやすいようです。
@二分割思考:「白か黒か」「全か無か」という両極端の見方をする。 A一般化のしすぎ:1つ良くないことがあると「いつも決まってこうだ」「うまくいったためしがない」と考えてしまう。 B心のフィルター:1つの良くないことにこだわって、くよくよと考え 他のことをすべて無視してしまう。 Cマイナス思考:よいことを無視するばかりでなく、なんでもないことや良い出来事を悪い出来事にすり替えてしまう。 D結論の飛躍: 根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう。 @)心の読みすぎ:ある人が自分に悪く反応したと早合点してしまう。 A)先読みの誤り:事態は確実に悪くなると決めつける。 E誇大視と過少評価: 自分の欠点や失敗を過大に考え、逆に長所や成功したことを過小評価する。 F感情の決めつけ:自分の感情が現実をリアルに反映して、事実を証明する証拠であるかのように考えてしまう。 Gすべき思考:何かやろうとする時に「〜すべき」「〜すべきでない」と考える。 Hレッテル貼り:ミスを犯した時「自分はバカだ」「敗北者だ」などと自分にネガティブなレッテルを貼ってしまう。 I 自己関連づけ:何か良くないことが起こった時、自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまう。
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